取締役

取締役会を置かない株式会社には、取締役が1名いれば足ります。 公開会社でない株式会社は、取締役の任期を約10年まで伸長できます。 小規模な会社では、株主1名、取締役1名のみで、いずれも同じ方が兼務されているケースが多いようです。

取締役

取締役とは、株式会社の機関の1つであり、原則として、株式会社(取締役会設置会社を除く)の業務を執行します。 ただし、取締役会設置会社の業務の執行は、代表取締役などの業務執行取締役が行います。

欠格事由

次に掲げる者は、取締役となることができません。
  • 法人
  • 成年被後見人もしくは被保佐人または外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
  • 会社法もしくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定に違反し、または金融商品取引法、民事再生法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、会社更生法若しくは破産法に規定された罪のうち、特定の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • それ以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)

員数

株式会社には、1人以上の取締役を置かなければなりません。 ただし、取締役会設置会社においては、取締役は3人以上でなければなりません。 取締役の員数については、定款で定めることができます。 例えば、取締役会を置かない株式会社が「当会社は、取締役2名以上を置く」と定款で定めた場合、その株式会社には、2人以上の取締役を置かなければなりません。 また、取締役会設置会社が「当会社は、取締役5名以内を置く」と定款で定めた場合、その株式会社には、3人以上5人以内の取締役を置かなければなりません。これは、取締役会設置会社には取締役が3人以上必要なためです。

任期

取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされています。 ただし定款または株主総会の決議によって、その任期を短縮することができます。 また、公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く)は、定款によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます。 これは、公開会社でない株式会社においては、株主の変動がほとんどないので、役員の変動も多くないためです。 取締役の任期が満了すると、役員変更の登記をする必要がありますので、公開会社でない株式会社においては、将来取締役を変更する可能性が低いのであれば、定款によって取締役の任期を約10年に伸長することをお勧めします。

取締役等による責任の免除

取締役は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。 この責任は、原則として、総株主の同意がなければ免除することができません。 ただし、監査の範囲を会計に限定しない監査役を置く株式会社(取締役が2人以上ある場合に限る)は、この責任について、当該取締役が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該取締役の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、会社法で定める額を限度として取締役(当該責任を負う取締役を除く)の過半数の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって免除することができる旨を定款で定めることができます。

代表取締役

代表取締役とは、株式会社を代表する取締役のことです。 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有します。 株式会社の取締役のうち、1人以上は代表取締役でなければなりません。 取締役が複数いる場合、一部の取締役のみを代表取締役とすることもできますし、取締役全員を代表取締役とすることもできます。

社外取締役

社外取締役とは、株式会社の取締役であって、当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人となったことがない者のことです。

責任限定契約

取締役は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。 この責任は、原則として、総株主の同意がなければ免除することができません。 ただし、株式会社は、社外取締役のこの責任について、当該社外取締役が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と会社法で定める最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を社外取締役と締結することができる旨を定款で定めることができます。

取締役会

取締役会とは、株式会社の機関の1つであり、株式会社の業務執行の決定などの職務を行います。 取締役会は、全ての取締役で組織されます。 取締役会の設置義務がなければ、あえてこれを置く必要性は乏しいでしょう。

取締役会の設置義務

株式会社は、定款の定めにより取締役会を置くことができます。 また、次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければなりません。

監査役または会計参与の設置義務

取締役会設置会社(委員会設置会社を除く)は、監査役を置かなければなりません。 ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りではありません。 つまり、公開会社である取締役会設置会社(委員会設置会社を除く)は監査役を置かなければならず、公開会社でない取締役会設置会社(委員会設置会社を除く)は監査役または会計参与を置かなければなりません。