非司法書士問題

行政書士税理士などが会社設立の登記業務を行うことは違法です。

司法書士業務

他人の依頼を受けて、登記手続について代理したり、登記所に提出する書類等を作成したりする事務を行うことは、司法書士の業務範囲です。 この「登記所に提出する書類等」には、登記申請書等はもちろん、その添付書類等も含まれます。 ※  司法書士の業務(法務省ホームページ)

会社設立との関係

株式会社を設立するには、設立の登記を申請しなければなりません。 司法書士は、株式会社の設立の登記手続について代理したり、登記所に提出する登記申請書等や添付書類等を作成したりすることができます。

非司法書士問題

司法書士法の規定

司法書士法73条1項には、他の法律に別段の定めがない限り、司法書士または司法書士法人でない者は、次に掲げる業務を行ってはならないと規定されています(非司法書士行為、略して非司行為)。
  • 登記に関する手続について代理すること
  • 法務局または地方法務局(登記所)に提出し、または提供する書類または電磁的記録を作成すること
この規定に違反した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(司法書士法78条1項)。

現在の状況

上記のように、登記業務については、書類の作成も含めて、司法書士でない者が行ってはならないことになっています(他の法律に別段の定めがある場合を除きます)。 しかし、実際には取り締まりが功を奏しておらず、この規定はあまり守られていないのが現状です。 例えば、「Yahoo! JAPAN」や「Google」などの検索エンジンで「会社設立」と検索してみると、 東京都内をはじめとして、行政書士、税理士といった、司法書士以外の業者のWebサイトが数多く表示されます。 このようなWebサイトの全てが非司法書士行為を行っている訳ではありませんし、きちんと司法書士に外注して登記手続きを行ってもらっている業者もたくさん存在しています。 しかし、登記所に提出する書類の作成業務を行うことは、司法書士法で禁止されている非司法書士行為に当たり、実際にこれを行っている業者は相当数あります。 仮に、登記申請書類作成の「代行」とうたっていたとしても、業務として登記所に提出する書類を作成していれば、もれなく非司行為です。

格安業者の問題点

行政書士、税理士などのWebサイトの中には、数千円といった極端に安い報酬や、中には報酬0円で会社設立を代行している業者も多く見受けられます。 しかし、こういった業者の多くは、「登記手続の代行」とうたっておきながら、実際には設立登記を本人申請の形にして、責任の所在をあいまいにしています。 つまり、会社設立後に登記の内容に重大な問題があることが発覚した場合に、「私は登記手続に関与していないので責任はありません」と言って逃げることができるのです。 このような業者が本当に適切な登記手続を行ってくれるのか、大きな疑問です。 この点、司法書士はお客様の代理人として設立登記の申請をするので、責任を持って確実に登記手続を行います。 また、報酬0円で設立手続を代行している業者のほとんどは、設立後に税理士または公認会計士と顧問契約を結ぶことが条件になっています。 当然ですが、顧問料は決して安いものではありませんので、その点も考慮する必要があるでしょう。

設立登記は司法書士へ

株式会社の設立登記手続を誰に依頼するのかは、お客様の自由です。 非司法書士に登記業務を依頼したからといって、依頼を受けた非司法書士が罰せられることはあっても、お客様が処罰されることはありません。 ですが、非司法書士活動を行うような業者は、司法書士法という強行法規に真っ向から違反しているのです。 そのような業者に、これから設立する株式会社の大事な第一歩を任せても良いものでしょうか。 その点をきちんと考慮していただき、会社設立は登記のプロフェッショナルである司法書士に依頼されることをお勧めいたします。