会計参与

会計参与の設置義務がなければ、あえて設置する株式会社は少ないようです。

会計参与とは

会計参与とは、株式会社の機関の1つであり、取締役と共同して、計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を作成します。 ※ 会計参与(日本公認会計士協会ホームページ) ※ 会計参与制度(日本税理士会連合会ホームページ)

会計参与を置くべきか

会計参与は、原則として任意設置の機関です。 株式会社は、定款の定めによって、会計参与を置くことができます。 会計参与を設置する場合、次のようなメリット及びデメリットがあります。 今のところ、会計参与の設置義務がある株式会社でなければ、あえて会計参与を置く株式会社は少ないようです。

メリット

会計参与設置会社では、計算書類の正確性が担保されるので、金融機関によっては、融資条件が優遇される場合があります。 ※ 中小企業での会計参与導入効果(会計参与支援センターホームページ)

デメリット

会計参与に対して報酬等を支払わなければならず、上記メリットにより発生する経済的利益と比較しても、コストの方が大きくなってしまう場合が多いようです。

会計参与の設置義務

公開会社でなく監査役を置かない取締役会設置会社(委員会設置会社を除く)は、会計参与を置かなければなりません。

資格

会計参与は、公認会計士もしくは監査法人または税理士もしくは税理士法人でなければなりません。 会計参与に選任された監査法人または税理士法人は、その社員の中から会計参与の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知しなければなりません。 この場合においては、下記の欠格事由に該当する者を選定することはできません。 ※ 日本公認会計士協会(外部リンク) ※ 日本税理士会連合会(外部リンク)

欠格事由

次に掲げる者は、会計参与となることができません。
  • 株式会社またはその子会社の取締役、監査役もしくは執行役または支配人その他の使用人
  • 業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
  • 税理士法43条の規定により同法2条2項に規定する税理士業務を行うことができない者

員数

会計参与を置く場合の員数は、原則として、1人以上であれば足ります。 会計参与の員数については、定款で定めることができます。 例えば、「当会社は、会計参与2名以上を置く」と定款で定めた場合、その株式会社には、2人以上の会計参与を置かなければなりません。

任期

会計参与の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされています。 ただし、定款または株主総会の決議によって、その任期を短縮することができます。 また、公開会社でない株式会社(委員会設置会社を除く)は、定款によって、会計参与の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます。

計算書類等の備え置き

会計参与は、計算書類等を、一定の期間、法務省令で定めるところにより、当該会計参与がその事務所の場所の中から定めた場所に備え置かなければなりません。 この場所は、株式会社の本店または支店とは異なる場所でなければなりません。 この計算書類等の備置場所は、登記しなければなりません。

取締役等による責任の免除

会計参与は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。 この責任は、原則として、総株主の同意がなければ免除することができません。 ただし、監査の範囲を会計に限定しない監査役を置く株式会社(取締役が2人以上ある場合に限る)は、この責任について、当該会計参与が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該会計参与の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、会社法で定める額を限度として取締役の過半数の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって免除することができる旨を定款で定めることができます。

責任限定契約

会計参与は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。 この責任は、原則として、総株主の同意がなければ免除することができません。 ただし、株式会社は、会計参与のこの責任について、当該会計参与が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と会社法で定める最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を会計参与と締結することができる旨を定款で定めることができます。